2020年度から、小学校でプログラミング教育が全面実施されました。
学校でも、パソコンやタブレットなどのICT端末を使って学ぶ機会が増えています。
そんな中、
と迷う保護者の方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、小学生のプログラミング学習では、必ずしもお子様専用のパソコンを新しく購入する必要はありません。
学校や教室で使う教材を確認し、手元の端末で試してから購入しても十分間に合います。
本記事では、パソコンを買わなくてもよいケースと、購入する場合の選び方、予算、安全に使うための設定を初心者向けに解説します。
小学生のプログラミング学習に専用パソコンが必要とは限らない
小学校のプログラミング教育においては、必ずしもお子様専用のパソコンが必要になるわけではありません。
まずは学校や家庭にある環境で学習目的を満たせないか確認してみましょう。
学校教育の目的はプログラミング言語の習得ではない
2020年度以降、プログラミング教育は全国の小学校で実施されています。
とはいえ、「プログラミング」という独立した教科が新しく設けられたわけではありません。
算数や理科、総合的な学習の時間など、既存の教科等の中でプログラミングを体験する形で行われます。
文部科学省は、小学校におけるプログラミング教育について、プログラミング的思考を育むことを目的の一つとして示しています。
小学校におけるプログラミング教育は,プログラミング的思考を育むために行います。
https://www.mext.go.jp/miraino_manabi/content/223.html
「プログラミング的思考」とは、目的を実現するために必要な動きや命令の組み合わせを考え、試しながら改善していく力です。
単に手順を覚えるのではなく、
と論理的に考える経験を重視しています。
プログラミング的思考は問題解決スキルの一部であり、ITの専門知識そのものとは異なります。
また、文部科学省の手引では、コンピュータを使わずにプログラミング的思考を育む活動も考えられるとされています。
そのため、学校の授業に備えるという理由だけで、家庭用パソコンを急いで購入する必要はありません。
ただし、プログラミング教育全体を通してコンピュータをほとんど使わなくてよいという意味ではありません。
児童が実際にコンピュータを使い、意図した処理を実現する体験も重要とされています。
まずは、学校で使用する端末や教材を確認してから判断しましょう。
学校端末や家族のパソコンで十分学べる場合もある
GIGAスクール構想により、小中学校では児童生徒が1人1台の端末を利用できるICT環境が整備されています。
学校端末を家庭学習にも持ち帰れるのであれば、宿題や授業で必要な範囲は、その端末で対応できる場合があります。
ただし、持ち帰りの可否や利用できるアプリ、外部サービスへのアクセスなどのルールは学校・自治体によって異なります。
また、家族共用のパソコンやタブレットで教材が利用できるなら、新たにお子様専用の端末を購入しなくても十分な場合があります。
子ども用パソコンを買わなくてもよい3つのケース
次のような場合は、パソコンの購入をいったん見送ってもよいでしょう。
学校の端末を家庭学習にも利用できる
学校端末の持ち帰りが許可されていて、宿題や自主学習にも利用できるなら、授業で必要な範囲はその端末で対応できるでしょう。
ただし、学校が管理している端末では、アプリの追加や設定変更、外部サービスへのアクセスなどが制限されている場合があります。
学校の授業以外で使いたいサービスや、作りたい作品がある場合は、学校の利用ルールを確認しましょう。
家族共用のパソコンやタブレットで教材が動く
週に1~2回、短時間利用する程度であれば、家族共用のパソコンでもプログラミング学習に十分使えます。
まずは、手元の端末が使いたい教材の対応環境に含まれているか確認しましょう。
例えば、教材として広く使われるScratch(スクラッチ)は、パソコンやタブレットの一般的な最新ブラウザで利用できます。
一方、スマートフォンについては、Scratch公式ヘルプで、作品の閲覧はできるものの、作品の作成や編集には対応していないと案内されています。
“You can view projects on mobile phones, but Scratch does not currently support creating or editing projects on phones.”
https://mitscratch.freshdesk.com/en/support/solutions/articles/4000156845-what-are-the-system-requirements-for-scratch-
つまりインターネットにつながる端末であっても、期待通りの動作をするとは限らないということです。
まずは家庭にある端末で教材を試し、「操作しにくい」などの不都合が出てからパソコンを購入しても遅くはありません。
学習する教材や教室が決まっていない
教材によって必要な端末やOSは異なります。
Webブラウザだけで使える教材もあれば、専用アプリのインストールが必要な教材もあります。
プログラミング教室を検討中の場合も、入会前にパソコンを購入するのは避けたほうが無難です。
教室によっては、スペックやOS、「専用ロボットとの接続が必要」といった条件が指定されることがあります。
学習方法や教材が決まるまでは、無料体験に参加したり、教室からの案内を確認したりしてから購入するほうが、無駄を防げます。
子ども専用パソコンを購入したほうがよいケース
既存の端末で学習時間や機能が不足するようになったら、専用パソコンの購入を検討しましょう。
例えば、次のような場合です。
お子様が「作りたい」「学びたい」と思ったときに、すぐパソコンを使える環境は、学習を続けるうえでメリットになります。
また、ゲーム制作や本格的なプログラミングに進むと、キーボード入力やファイル管理など、パソコン自体の操作も必要になります。
日本語入力ではローマ字入力に慣れる必要が出てくる場合もありますが、最初から速く入力できる必要はありません。
興味のある言葉や作品名を少しずつ入力するだけでも、パソコン操作への抵抗感を減らせます。
小学生向けプログラミングパソコンの選び方
パソコンを選ぶときは、価格やメーカー名よりも、「使う教材が動くか」を最初に確認することが大切です。
教材の条件を確認したうえで、性能やサイズを絞り込んでいきましょう。
最初に教材が対応するOSを確認する
OSとは、WindowsやChromeOS、macOSなど、パソコンを動かすための基本ソフトです。
教室や教材から指定がある場合は、必ずその条件に合わせましょう。
特に指定がない場合は、用途に応じて選びます。
タブレットは画面を直接触って操作できるため、低学年向けの入門教材では使いやすい端末です。
一方、長い文章を入力したり、複数のファイルを管理したりするようになると、キーボード付きのパソコンのほうが操作しやすいでしょう。
メモリは8GB以上が目安
メモリは、パソコンが使用中のデータを一時的に置く場所です。
よく「作業机」に例えられ、容量に余裕があるほど複数の作業を同時に進めやすくなります。
Windows 11の公式な最低メモリ要件は4GBです。
ただし、これはWindows 11を動かすための最低条件であり、家庭で快適に利用するための推奨容量を意味するものではありません。
実際にはブラウザ教材やオンライン授業などを想定して、メモリ8GB以上がおすすめです。
複数のアプリを同時に使う場合や、数年間使い続けたい場合は、16GBも候補になります。
ストレージはSSD 256GB以上が目安
ストレージはパソコン内のデータを保存する場所で、写真や動画、アプリ、作品ファイルなどが保存されます。
ブラウザ教材を中心に使い、データの多くをクラウド上に保存するなら、容量が小さめのパソコンでも運用できます。
ただし、新しく購入したパソコン本体にデータを保存する場合は、SSD 256GB以上が安心です。
動画編集やゲーム制作などにも興味を持ちそうなら、512GBも検討すると余裕があります。
中古パソコンの場合は、Windows 11のシステム要件を正式に満たしているかも確認しましょう。
一般消費者向けWindows 10のサポートは、2025年10月14日に終了しています。
画面サイズは13~15.6型が使いやすい
家庭内で場所を移動して使うなら、13~14型程度のノートパソコンが扱いやすいでしょう。
基本的に机へ置いたまま使うのであれば、画面の見やすい15.6型も候補になります。
外へ持ち運ぶ可能性がある場合は、本体だけでなく充電器を含めた重さも確認しましょう。
特に低学年のお子様が使う場合は、持ちやすさや机に置いたときの扱いやすさも大切です。
小学生向けパソコンの予算は用途と性能から決める
パソコンの価格は、販売時期やスペック、画面サイズ、メーカーなどによって大きく変わります。
そのため、予算だけを先に決めるより、あらかじめ決めておいた条件を満たす製品の中から価格を比較するのがおすすめです。
ブラウザ教材を中心に使うシンプルなChromebookなら数万円台から選べる機種があります。
一方、Windowsでメモリ8GB以上・SSD256GB以上を目安にすると、10万円前後になる場合もあります。
価格はセールなどでも変動するため、購入時点で複数の販売店を比較しましょう。
メーカーに絶対的な正解はないため、ブランド名だけでなく、次のような条件も確認しましょう。
極端に安い機種では、メモリやストレージが少なかったり、Windows 11の要件を正式に満たしていなかったりする場合があります。
価格だけで決めず、必ず仕様表を確認しましょう。
子どもが安全に使うための3つの設定
お子様にパソコンを渡す前に、保護者が安全に使える環境を整えておきましょう。
子ども専用アカウントを作る
パソコンを安全に使うためには、保護者のアカウントをそのまま使わせるのではなく、お子様専用のアカウントを作成しましょう。
また、お子様用のアカウントには管理者権限を与えないようにしましょう。
管理者権限があると、アプリを自由にインストールしたり、重要なシステム設定を変更したりできるためです。
利用時間とアプリを管理する
お子様が長時間パソコンを使い続けないように、利用時間や使用できるアプリを保護者が管理しましょう。
Windowsには、「Microsoft Family Safety」という機能があります。
この機能を活用すると、アプリやゲーム、Webサイトなどの利用を保護者が管理できるようになります。
ChromeOSでは、「Googleファミリーリンク」によりパソコンの利用時間やアプリの利用を管理できます。
しかし、Family SafetyによるWebサイトの制限は、Microsoft Edge以外のブラウザでは効果がありません。
端末を選ぶときは、「保護者向け管理機能があるか」だけでなく、どのアカウントやブラウザで機能するのかも確認しましょう。
OSとソフトウェアを更新する
OSやブラウザのアップデートには、セキュリティ上の脆弱性を修正する更新が含まれます。
Windowsなどでは更新プログラムを自動的にインストールする仕組みがありますが、再起動が必要になる場合もあります。
更新通知を長期間放置せず、できるだけ新しい状態を保ちましょう。
また、お子様が作った作品データは、クラウドストレージや外付けストレージなどへ定期的にバックアップしておくと安心です。
購入前に学校や教室へ確認しよう
パソコンを購入する前に、最低でも次の3点を確認しましょう。
プログラミング教室へ通う場合は、ロボットなどの専用機器や、マウス、ヘッドセットなどの周辺機器が必要かも確認が必要です。
必要になった段階で用途に合うパソコンを選ぼう
小学生のプログラミング学習では、最初からお子様専用のパソコンを用意する必要はありません。
学校端末や家族共用のパソコン、タブレットで教材を利用できるなら、まずは手元にある環境から始めてみましょう。
といった課題が出てきたときが、専用パソコンの購入を検討するタイミングです。
購入する場合は、まず教材や教室が指定するOS・推奨性能を確認しましょう。
特に指定がなければ、本記事ではメモリ8GB以上・SSD256GB以上をおすすめします。
長期間使うことや、動画編集・ゲーム制作などへの発展も考えるなら、メモリ16GB・SSD512GBも候補になります。
しかし、スペックの高さだけを追う必要はありません。
お子様が実際に使う教材と、家庭での使い方に合ったパソコンを選ぶことが大切です。
